最近YouTubeを見ていたら、こんな広告が流れてきた。
最新のローソンのCM
去年の資生堂(uno)のCM
これらの映像に共通するのは、70年代〜80年代の雰囲気を漂わせているということ。
広告として、かなり最近のものであるにもかかわらず、である。
(もちろん天下のローソンと資生堂であるから予算不足とかではなく、この表現は『あえて』しているものとしか考えられない。)
ハイビジョンや4Kなどの映像形式やそれに対応した媒体が主流になってきたし、
カメラだけでなくドローンやGoProなども普及し、映像機材の技術進歩も目覚ましい。
そんな現代に、逆行しているとも言える映像表現。
こんな『レトロ感』を押し出したCMが大企業でも取り入れられていることに、時代の波を感じざるを得なかった。
そして何より、あまり広告を見ない自分の心にも強く残った。
最近の若者の間で、『レトロ』はかなりキていると思っている。
[s_ad]
インスタグラムを見ると、たくさんの女子がフィルムカメラの『写ルンです』を使って写真を撮り、現像している。

任天堂がファミコンミニが発売して爆発的ヒットを飛ばしたり、

『バブリーダンス』『今日から俺は!!』のヒットといい、
最近70〜80年代のテイストがウケているのは事実。
レトロは上の世代に、『懐古』を促す
40〜50歳あたりの世代に、昔に回帰した表現は刺さると思う。
父親と母親も、このようなレトロ感は印象に残ると言っていた。
『懐古』を促すことで印象を強くしたり、懐古することから始まるコミュニケーションの発生・伝播を考えると、彼らに向けても『レトロ感』を押し出した広告は悪くない表現方法なのではないかと感じる。
また上の世代には「世の中はもうすでに技術的には満ち足りていて、これ以上進化する必要がない」と考える人が多いのも事実で、そういう人にとっては最新の映像技術で攻めるよりも逆の、レトロ感のあるベクトルのアプローチの方がかえって良さそうな感じもする。

周りが進化していった結果、昔のものが相対的に際立つことはあるよね。
若者にとって、レトロ感は『斬新』なもの
そして自分たち若者にとって『レトロ感』ってのはかえって斬新だと思っている。
23歳の自分も初めて触ったパソコンはWindowsXPだし、ゲーム機はゲームボーイアドバンス。スマホは高校生の頃から使いこなしている、ガチガチのデジタルネイティブである。

『デジタル』=『便利』であって、そんなデジタルが『当たり前』の自分たち。
デジタルという存在の、合理性を極めた余白のなさ —そして、その『面白くなさ』を潜在的に感じている人は一定数いると思う。
写ルンですの白飛びやノイズも、スーパーファミコンのソフトのバグも、レコードで音楽を聞くことも、今となっては逆に面白い。
こんな不完全・不合理との偶発的な出会いを、現代の人たちは楽しんでいるのではないかな。
ローソンも資生堂もそこを嗅ぎつけ、このようなCMを製作、YouTubeで20代の若者をターゲティングして流しているのだろうと思う。
単純に『種類が多くなる』という横のベクトルだけではなく、『時系列』という縦のベクトルの多様性も増してきている。年度が深まるにつれ、色々なものの歴史が長くなっていく。

実績や限定感を『復刻版』をだすビジネスが増えていることも頷ける。
きっと現代のコンテンツにおいて、単純に最新鋭であったり、かっこいい、面白いなどの『王道』だけが正義ではない、ということですね。