東海オンエア「株式会社グレーゾーン・エージェンシー」感想。世の中の”相反するもの”のハイブリッド。現在の世相を痛快・挑戦的に描く映像作品。

東海オンエア「株式会社グレーゾーン・エージェンシー」感想。世の中の”相反するもの”のハイブリッド。現在の世相を痛快・挑戦的に描く映像作品。

レビュー

この記事は最終話までのネタバレを含みます。
あと、結構長いですのでご承知おきください。
この記事は10分で読めます。だいたい500文字/分で読める計算です。

東海オンエアは数少ない好きなYouTuberで、

実家が近いということもあり、その絶妙なエンタメ性から過去3年分のほぼ全ての動画を見たという自信があります。

そんな大好きなYouTuber、東海オンエアのYouTubeOriginals作品、
「株式会社グレーゾーン・エージェンシー」の視聴が終わりましたので、所感を述べます。

ひとことで言うと、東海オンエアの良さを存分に活かした、挑戦的なドラマでした。

完全にファン目線で書いた、
「株式会社グレーゾーン・エージェンシー」の隠し要素、
いわゆる”小ネタ”を探した記事はこちら

東海オンエア「グレーゾーン・エージェンシー」に、いくつも隠し要素や小ネタがいくつも隠されているみたいなので、探しだそうと思う。
この記事は最終話までのネタバレを含みます。 自分は東海オンエアの大ファンで、普段の動画も何周もするほど見るのですが、 株式会社グレーゾーン・エージェンシーには小…
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東海オンエアの良さを最大限に引き出した構成。

この作品を見てまずパッと感じたことは、
『東海オンエアの良さが最大限に出ている』ということです。

なぜ彼らが殺されていないか。

それは構成に起因するのではないでしょうか。

作品は主に2部構成で、

  • メンバーや俳優たちがドラマのストーリーを展開させる『ドラマパート』
  • 普段のコメディとしての東海オンエアが見られる『バラエティパート』

で成り立っている、いわば

『ドラマとバラエティの融合』作品です。

EP 1 男たちの熱き面接 | 株式会社グレーゾーン・エージェンシー

個人的に、東海オンエアの良さは『クラスのお調子者感』だと思っているのですが、

東海オンエアが演じるのが本人役であること、またバラエティ要素を入れること

普段の東海オンエアの良さを殺さない、バラエティパート。

さらにそこにプロの俳優・女優が脇を固め、
一流のスタッフが構成・演出をして、クオリティを底上げしています

演技もライティングも画風も舞台セットもすごい。当然の4K制作。
EP 8 僕たちの謝罪会見 | 株式会社グレーゾーン・エージェンシー

『元素人YouTuber』と『クオリティ』の共存が高いレベルでできていた点が、グレーゾーンエージェンシーの素晴らしいところ。

はじめしゃちょーのYouTubeOriginals作品はドラマ一色、
かつ、役者の登場は控えめで、
自身の演技の割合が多かったためか、ギクシャクした感が否めませんでした。
面白かったですけどね。

教訓にした感じは大いにあります。
The Fake Show – OFFICIAL TRAILER

東海オンエアが普段は着用しないスーツ姿

真剣に演技をする姿を見ることができたり、

  • 名俳優のツダカン(津田寛治 / 社長役)・小松利昌(上司役)
  • 「イタズラなKiss」の矢作穂香(同期のたえちゃん役)
  • 「カメラを止めるな!」のしゅはまはるみ(上司役)
  • デヴィ夫人・厚切りジェイソン(単発ゲスト・刺客枠)

などといった

一度は目にしたことのある著名人との共演も、

ファンの目にとってはシビれる展開だったはず。

少なくとも僕はそうでした。

ストーリーには物足りなさが残るが、当然なのかもしれない。しかし、伏線の回収不足は残念。

対してストーリーは、特筆するものもなく平凡だった印象です。

特に大きなサプライズがあるわけでもなく、

ブラック企業の日常の中で、淡々と物事が進んでいました。

ただ、これについては決して劣っているとは言えません。
ストーリーだけで勝負する作品ではないと思うからです。

コメディとのハイブリッド作品ということもあり、

尺的にも、また東海オンエアの演技力、”彼らの日常”感を出すという目的でも、
ストーリーに比重は置きづらかったと推測します。

ただ、ひとつ残念だったのが伏線の回収不足

その筆頭が第1話で登場した、

偽の投資話を持ちかけ、東海オンエアを活動休止に追い込んだ男の正体です。

作中(第6話)で、
灰崎社長と交友関係であることが示唆されていたにも関わらず、

その後何も言及せず、物語が完結してしまったことには、
消化不良不足感を拭えませんでした。

他にも、

同期のたえちゃん(矢作穂香)が社長に意味深に連れて行かれた伏線(第7話)も回収されず。

てつやに内部告発のメールを送った人物(第9話)についてもスルー。

シーズン2など、続編が存在するとも考えづらく、
物語ものとして、こういった大きな伏線は回収してほしかったなと思います。

相反するものを組み込んだ、挑戦的な作品

『相反するもののハイブリッド』であること。

そこが『グレーゾーン・エージェンシー』の真髄であり、挑戦的で面白いと思っています。

『ドラマ』×『バラエティ』

先述しましたが、本作品は2部構成となっています。

『グレーゾーン・エージェンシー』では、
登場人物・脚本・制作などは一流のプロが担当し、
ドラマや映像作品としてのクオリティを担保しています。

はじめしゃちょーの『The Fake Show』のようにドラマ偏重になるかと思いきや、

東海オンエアを本人役で、ifストーリーを展開すること、
明確にバラエティパートを棲み分けすることで、

面白いけど、ストーリー性もある。
でも1話完結のいつもとはちょっと方向性が違う、

そのバランスが非常によく、
普段の東海オンエアの動画の、延長線のものとして楽しむことができました。

『サラリーマン』×『YouTuber』

一番の見所がここです。

サラリーマンとYouTuberという題材を取り扱っていることです。

最近になってようやく社会的地位を獲得しつつあるYouTuberが引き起こす、

世代間、社会的な認知の歪みみたいなものをうまく映し出していると思いました。

その一つが、YouTuberの台頭を恐れる、サラリーマン。

サラリーマン長くやってたら、
長いものには巻かれる、臭いものには蓋をする。そうやって生きていくしかないわけ。

田沼面太郎 – EP 9 闇に消えたサプライズ | 株式会社グレーゾーン・エージェンシー

ブラック企業を舞台とし、理不尽なルールや内部告発・パワハラ・忖度まみれな、ネガティブに描かれるサラリーマン。

好きなことをして、忖度せず正義を貫き、成金的な描かれ方をするYouTuber。

いよいよこの2者が睨み合う作品が発信される時代になったのです。

パパはな、こういう連中にはなってほしくないんだよ。
好き勝手なことやって生きていくとか、夢追っかけて生きていくとか、
人生そんな甘いもんじゃないんだよ!

灰崎 壮一 – EP 10 希望という名の退職届 | 株式会社グレーゾーン・エージェンシー

この作品ではタカシくんという、YouTuberに憧れ受験勉強を蔑ろにする子どもが登場します。

将来つきたい職業、男子1位「YouTuber」という調査結果があるように、

今、子どもたちの夢見る職業がYouTuberになってきている、今の世相をそのまま描いています。

覇気がなくつまらなさそうに働く、拝金主義的な人間たちを尻目に、
スマホのスクリーンに映されるYouTuberは、楽しそうな企画をして、
億万長者になっているように”見える”。

まだ何も知らない、
(さらにスマホやゲームの登場によって世界が閉鎖的になっている)子どもたちにとって、

一番身近で、「楽して稼げる」ように”見える”YouTuberの存在は圧倒的にスター的で、

安易にその道を目指すようになるのも仕方がないことだと思うのです。

夢の単一化を防ぐには、YouTuberを下げるのではなく、

YouTuber意外にも子どもの目に魅力的に映る、やりがいを持って仕事に取り組む、そんな社会的風潮の形成や、子どもへのきっかけづくりという形など、

教育の再考が不可欠であると、あらためて思わされました。

また、社長の言い分もよく分かります。

自分の親がそうだったからです。漫画やインターネット、ゲームはくだらないものとして拒絶し、勉強を「させる」手法をとっていたからです。

基本の考え方は間違っていないと思います。勉強は大事だと思うし、受験勉強を蔑ろにすることはかなりよくないです。それに対してゲームやインターネットという、強すぎる誘惑が子どもたちを取り巻く時代になりました。

YouTuberの台頭を恐れる、日本の家族。新しく出てきたスター的職業に対し、実際どうすれば良いのか。現代社会の最前線の家族像をうまく描いていたんじゃないかなと思います。

まずひとつ、問題は伝え方。

”親は絶対である”と言わんばかりの、前世代的な「言うことを聞きなさい」が、子どもを突き放している。こんな家庭は少なくないのではないでしょうか。

実際、タカシくんのように子どもが「自分で自分の道を行く」のは安直であることが多いと思うんですよね。
強い誘惑に負けず、我慢をして、勉強をして見えてくる、勉学としての楽しさも間違いなくあるわけで。

どう救いの手を差し伸べるのか、どうバランスをとっていくのか。

考えさせられる作品だと思います。

分かりやすく、直球なメッセージ。社長は時代の被害者ともいえる

YouTuberの視聴者層に合わせてか、

分かりにくい表現や抽象的な表現はあまり見られていません。

ストレートなメッセージを、最終話に込めたのが印象的でした。

分かってんだよ時代が変わってんのは。
分かってんだ全部!だけど・・・心が受け付けてくれねえんだよ!

周りのもん全部がどんどんどんどん
ものすげえスピードでかわっちまって、
おかげでこっちはもうついて行けねえんだよ。

どんどんどんどん取り残されて、
それがもう、怖くて怖くてしょうがねえんだよ。

灰崎 壮一 – EP 10 希望という名の退職届 | 株式会社グレーゾーン・エージェンシー(一部中略)

気合と根性で、トップダウンの体制で、時代を乗り越え、
会社を大きくしてきた社長。

それをまっとうしてきて、一定の成功を収めた人間。

しかし、自分が必死になってきた生き方を否定せんとばかりに、
時代の価値観はどんどん変わっていく。

これ、ものすごく理解ができます。

人間は知らないことを嫌い、変化することを恐れる生き物ですから。

不正な資金流用をはたらいた社長の行為は決して許されることではありませんが、

急速に変わっていく時代背景、価値観の流れの被害者でもあるんですよね。

自分が選んで進んできた道が、唯一正しい道だった。そう信じるしかないと思うんです。

てつや – EP 10 希望という名の退職届 | 株式会社グレーゾーン・エージェンシー

自分は若いので、価値観は世間の『今の価値観』に近しいものを持っています。
灰崎社長のような価値観を、『古い価値観』だって思います。

でも自分は、未来の灰崎社長です。
未来では、自分は『古い価値観』を持つ人間なのです。

そしてこれから、時代の流れはどんどん加速していきます。

新しいものは必ず古くなります。

その時、単に『価値観を時代に合わせてアップデートする』という机上論的なアプローチではない、別のアプローチ

それが、てつやの語る『自ら来た道を信じること』ではないでしょうか。

自分のプライベートも相まって、刺さる言葉でした。

(東海オンエアの動画でこんなに感銘を受けるとは・・・)

おわりに

つらつらと書いてきましたが、

YouTuberという、まだまだ社会的立ち位置が不透明な作品に出演し、
一流の演技をしていただいた出演者の方々、

東海オンエアというキャラクターを存分に活かし、
今回の作品を生み出してくださった製作陣の方々に、感謝しています。

(関係者が書いたみたいな結びになりましたが、
自分はグレーゾーンエージェンシーの何者でもありません。)

文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

完全にファン目線で書いた、
「株式会社グレーゾーン・エージェンシー」の隠し要素、
いわゆる”小ネタ”を探した記事はこちら

東海オンエア「グレーゾーン・エージェンシー」に、いくつも隠し要素や小ネタがいくつも隠されているみたいなので、探しだそうと思う。
この記事は最終話までのネタバレを含みます。 自分は東海オンエアの大ファンで、普段の動画も何周もするほど見るのですが、 株式会社グレーゾーン・エージェンシーには小…
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